針ノ木岳・蓮華岳
2016/09/16~2016/09/17
針ノ木岳・蓮華岳
 
2016/09/16(金):晴れのち曇り:扇沢~針ノ木峠~針ノ木岳~針ノ木峠(幕営)
2016/09/17(土):曇りのち雨:針ノ木峠~蓮華岳~針ノ木峠~扇沢
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● 2016/09/16 ●

この三連休は台風と台風の間の期間で、もしかすると秋雨前線の影響があるかもしれません。お天気が良くなれば大変賑わう期間ですが、お天気が悪くなれば行動が不安です。 前日から入ることができるため駐車場の心配はほぼありませんが、今度こそ北アルプスへと考えながらも色々と行き先を迷った結果、針ノ木岳と蓮華岳に決めました。 仮にお天気が良くなった場合でも静かそうな山域なこと、そしてお天気が悪くなった場合は下山にかかる時間がまだ比較的短く済みそうです。
北アルプスの中でも未踏のお山たち。3年前の七倉岳からの素晴らしい眺めが忘れられず、いつかはと思っていました。 日本三大雪渓の針ノ木雪渓と、蓮華岳のコマクサの群生が素晴らしいことが良く知られているので、ちょうどその時期に多くの人が訪れます。 初めて登るときはぜひまだ残雪が豊富に残っている時期にと考えていましたが、それはまたこの次の楽しみにします。 今年は特に雪が少なかったため雪渓はもうほぼ残っていないとのことで残念ですが、北アルプス中心部に位置するため、山頂からの展望と、少しずつ色付きかけた植物たちを楽しみに出かけました。

朝7時半に扇沢に到着。上の段の無料駐車場に車を止めることができ助かりました。扇沢駅横から入った針ノ木岳登山口を出発。ブナ林などの樹林帯を経て大沢小屋に到着。今はもうシーズン外のようで営業されていませんでした。
背後に爺ヶ岳を眺めながら何度か沢を渡り高度を稼いでいきます。ノド手前の沢を巻く細かな砂地のザレ場に不安を感じたところがありました。登山道が沢の向きに斜めに付いている上に勾配もあるので、ちょっと怖い。 下山は特に注意しなきゃと記憶に残しながら登ります。
ノドと呼ばれる谷が狭くなっている箇所は、両側が険しく切り立った崖。雪渓を登ることができる時期は雪上の急登ですが、この時期は山側に設置された鎖場を登ることになります。 しっかりとした鎖が設置されている上に足がかりもじゅうぶんあるため危険はありません。重いザックを置いて休憩できる場所はなさそうなので、鎖場の下でじゅうぶん休憩を取ってから一気に登りました。 針ノ木雪渓は、このノド周辺にほんのわずかにだけ残っている程度でした。

レンゲ沢を越えたところに最終水場があるとのことでしたが、見当たりませんでした。時期的にもう枯れてしまったのかもしれません。 登山道はさらに傾斜が増し、峠までは厳しい急登が続きます。空には雲が広がってきましたが、この辺りまで登ると色付きかけた樹々や植物たちに目が留まり癒されます。 峠直前にはザレた斜面にジグザグの道が付けられ、その道が急カーブで曲がる時がまた少し不安。重い荷物を持っている時に一番怖いのはバランスを崩したときに体勢を整えることが困難なことがあることなので、 足場が不安定な場所が最も注意すべき箇所、ハシゴや鎖場などよりも細かな砂地のザレ場に差し掛かった時は特に気を付けなければとあらためて感じました。

午後2時過ぎに針ノ木峠に到着。扇沢から6時間ほど。コースタイムが5時間なので、荷物の重さを考えれば自分なりに頑張ったように感じます。 テン場は場所を指定されるとのことでしたが、この時期のためなのか好きな場所に張っても良いとのこと。テントはまだ2張りほどしか張られていませんでした。 少しでも展望が良い場所にと思い、風が強くなる可能性がありますが、望んでいた最上段にテントを張ります。槍穂高や船窪岳周辺を眺めながらしばらく休憩しました。
日の入りの1時間半前の4時半にテントを出発します。少し岩場がありますが危険なところはありませんでした。ただ一部だけまたザレ場が出現、荷物が軽くなってもやっぱり苦手..と思いながら気を付けて登ります。 背後には蓮華岳が雄大な姿、そしてスバリ岳の奥に剱岳が姿をあらわしました。あまりの際立つ存在感に圧倒されます。この辺りの山域から眺める剱岳はより堂々とした姿に感じます。 1時間ほどで山頂に到着。高曇りなので周囲の山々はすべて見渡せましたが、残念ながら山頂に到着後すぐに太陽が雲の中に隠れて行ってしまい、その後、日の入りの時間まで光がほとんどなくなってしまいました。

テントに戻り天気予報を見ると、すっかり悪い方向に変わってしまいました。予定ではのんびり2泊して鳴沢岳あたりまで縦走もしてみたかったのですが、明日の夕方から雨の予報になってしまいました。 そしてさらにその翌日は大荒れ予報、北アルプスはもちろんのこと全国的に荒れたお天気になりそうです。明日は朝方も雨が降る可能性がありそうなので、蓮華岳へも行くことができるかどうかも分かりません。 蓮華岳へは朝起きて様子を見て決めることにしますが、どちらにしても明日は早々に下山することにしました。あまりの予報の変わりように悲しくなりました。 初日に針ノ木岳往復したことも体力的に結構きつくて疲労を感じていたこともあり、朝5時過ぎのご来光はもうほぼ諦めて疲れを取ることを優先し、4時に目覚ましを合わせて爆睡しました。

● 2016/09/17 ●

翌日4時に目を覚ますと、時折強い風は吹いていますがお天気はそれほど悪くなさそうです。空を見上げると、全体的には雲が多い中でもオリオン座の全貌を目にすることができました。 急いで準備すれば、ご来光には間に合わなくても太陽が昇った直後の朝の綺麗な光が見られるかも?!と思い慌てて準備して急いで蓮華岳へ。蓮華岳は針ノ木岳とは対照的になだらかな山容でした。 登っていく間に太陽が昇る方向にはそれなりの厚さの雲があるように感じます。そのため時間の割には明るくなってくるのが遅いように感じます。もしかすると日の入りの時刻を過ぎてから太陽が昇ってくるのかもしれません。 できる限り急ぎ足で登りましたが、偽ピークにはだまされました。そして偽ピークを過ぎた後もしばらくで山頂かなと思いましたが、この偽ピークから山頂までの道のりが想像以上に長く辛いものがありました。 すでにご来光の時間は過ぎてしまいましたが、焦る思いで可能な限り急ぎ、山頂まであと一歩のところまで来るとちょうど太陽が雲間からあらわれたところでした!

太陽は四阿山から昇ってきました。そしてそのお隣の浅間山。 機材の準備をしていると、太陽がまた雲に隠れがちになってしまいましたが、雲はそれほど厚くはなく、そのため拡散した光が山々を浮かび上がらせとても綺麗でした。 特に富士山がいつもよりとても大きく美しく感じました。北アルプスから眺めた富士山、これほど大きく見えたことはなかったように感じます。大気の影響でしょうか?裾野に広がる雲海にもよるのかもしれません。 峠に下山後、小屋の方にお話を伺うと、小屋の方でもこれほど大きな富士山は見たことがないかもしれないとのことでした。
ただ槍穂高を眺めると、上部に怪しい雲がかかってきました。悪天の兆しのように感じます。 1時間ほど撮影に夢中になってひと息つき振り返ると、剱の山頂がちょうど朝を迎えたところで、山頂部だけ輝いていました!しかも山頂のすぐ上にあらわれた帯状の雲がアクセントになり素晴らしい光景を見ることができました。 ご来光には間に合うはずがないと思っていたところに素晴らしい光の数々を見ることができ、感謝の思いです。山頂に2時間も過ごしていると、太陽が陰った影響もあって、防寒着を着こんでもかなり寒い。 気温は5度ほどでしたが風があるため体感温度はマイナスです。からだが冷え切ったのでテントに戻りました。

テントでひと休みしていると、とうとう風の雰囲気が変わってきました。天候悪化が早まったのかもしれません。 テントが濡れると面倒なので慌てて撤収。10時半に峠から下ります。激しく急なので、荷物の重さの負担が大きく辛いものがあります。ただ雨が降る前にある程度まで下りてしまいたかったので、ほとんど写真を撮らずに下山します。 鎖場、ザレ場を慎重に通過し、注意しなければならない箇所がほとんどなくなったところまで、無事に雨に降られずに下りてくることができました。のんびりとお昼の休憩をしていると、すばやく動くものに目が留まりました。 オコジョです!!近付いても写真を撮っても逃げるどころか周りを走り回っています。かくれんぼをしながら遊んでいるみたいでとても好奇心旺盛なオコジョ。よく見るとからだが小さく、まだ若いのかもしれません。 オコジョには山小屋の方でも年に数回しか出会えない生きものです。10年以上山歩きをしていて、オコジョに出会ったのはこれで3度目。最初に出会った時は一瞬で、2度目はあまり良い写真を残せませんでした。 今回は10分以上も近くで遊んでいたのでゆっくりと撮らせてもらえたこと、きっともう生涯こんなチャンスはないように思います。今日下山してきて良かった。最高のひとときでした。

オコジョが去ってしまった後、オコジョがそろそろだと分かっていたように感じるほど、タイミングよくとうとう雨が降り出しました。 しかもかなり激しい大雨。登山道はあっという間に大きな水たまりができ川のようになった箇所もありました。 そしてまだ少し岩場が残っていたことと、ザックを降ろして休憩できるところがほとんどなくとても辛く感じましたが、何とか16時半に無事に扇沢着。
今回の山旅は残念ながら天候悪化のため予定より短い行程になってしまいましたが、蓮華岳からの朝の光とオコジョに出会えたことはかけがえのない体験になりました。

● 写真(38) ●
  • 背後に爺ヶ岳を眺めながら何度か沢を渡り高度を稼いでいきます。
  • 背後に爺ヶ岳を眺めながら何度か沢を渡り高度を稼いでいきます。
  • 近いようで遠く感じる、目指す稜線。
  • 近いようで遠く感じる、目指す稜線。
  • ノド手前の沢を巻く細かな砂地のザレ場に不安を感じたところがありました。
  • ノド手前の沢を巻く細かな砂地のザレ場に不安を感じたところがありました。
  • 登山道が沢の向きに斜めに付いている上に勾配もあるので、ちょっと怖い。
  • 登山道が沢の向きに斜めに付いている上に勾配もあるので、ちょっと怖い。
  • ノドと呼ばれる谷が狭くなっている箇所は、両側が険しく切り立った崖。この時期は山側に設置された鎖場を登ることになります。
  • ノドと呼ばれる谷が狭くなっている箇所は、両側が険しく切り立った崖。この時期は山側に設置された鎖場を登ることになります。
  • 針ノ木雪渓は、このノド周辺にほんのわずかにだけ残っている程度でした。
  • 針ノ木雪渓は、このノド周辺にほんのわずかにだけ残っている程度でした。
  • この辺りは迫力ある岩壁がとにかく美しいです。
  • この辺りは迫力ある岩壁がとにかく美しいです。
  • 空には雲が広がってきましたが、色付きかけた樹々や植物たちに目が留まり癒されます。
  • 空には雲が広がってきましたが、色付きかけた樹々や植物たちに目が留まり癒されます。
  • 峠まであともうひと頑張り。でもまたザレた斜面、そしてジグザグの道が付けられ急カーブで曲がる時がまた少し不安です。
  • 峠まであともうひと頑張り。でもまたザレた斜面、そしてジグザグの道が付けられ急カーブで曲がる時がまた少し不安です。
  • でも振り返ると、爺ヶ岳だけではなく、鹿島槍ヶ岳も白馬岳も望むことができるようになってきました。
  • でも振り返ると、爺ヶ岳だけではなく、鹿島槍ヶ岳も白馬岳も望むことができるようになってきました。
  • 峠に到着して、望んでいた最上段にテントを張ります。槍穂高や船窪岳周辺を眺めながらしばらく休憩しました。
  • 峠に到着して、望んでいた最上段にテントを張ります。槍穂高や船窪岳周辺を眺めながらしばらく休憩しました。
  • 日の入りの1時間半前にテントを出発。足もとには色付いた草紅葉、そして展望を楽しみながら山頂へ向かいます。スバリ岳の奥には剱岳!
  • 日の入りの1時間半前にテントを出発。足もとには色付いた草紅葉、そして展望を楽しみながら山頂へ向かいます。スバリ岳の奥には剱岳!
  • 槍穂高から水晶岳、赤牛岳、薬師岳。そして烏帽子岳、船窪岳からこちらに続く稜線です。
  • 槍穂高から水晶岳、赤牛岳、薬師岳。そして烏帽子岳、船窪岳からこちらに続く稜線です。
  • 1時間ほどで山頂に到着。高曇りなので周囲の山々はすべて見渡せました。黒部湖を挟んで立山、剱。
  • 1時間ほどで山頂に到着。高曇りなので周囲の山々はすべて見渡せました。黒部湖を挟んで立山、剱。
  • ただ残念ながら山頂に到着後、すぐに太陽が雲の中に隠れて行ってしまいました。
  • ただ残念ながら山頂に到着後、すぐに太陽が雲の中に隠れて行ってしまいました。
  • 太陽が沈む頃、わずかに残る光。
  • 太陽が沈む頃、わずかに残る光。
  • 雄大な蓮華岳を眺めながらテントに戻りました。
  • 雄大な蓮華岳を眺めながらテントに戻りました。
  • 間に合うはずがないと思っていたご来光、可能な限り急いで登るとちょうど太陽が雲間からあらわれたところでした!
  • 間に合うはずがないと思っていたご来光、可能な限り急いで登るとちょうど太陽が雲間からあらわれたところでした!
  • 富士山がいつもよりとても大きく美しく感じました。大気の影響でしょうか?これほど大きく見えたことはなかったように感じます。
  • 富士山がいつもよりとても大きく美しく感じました。大気の影響でしょうか?これほど大きく見えたことはなかったように感じます。
  • 四阿山から太陽が登ります。お隣は浅間山。
  • 四阿山から太陽が登ります。お隣は浅間山。
  • ただ槍穂高を眺めると、上部に怪しい雲。悪天の兆しのように感じます。
  • ただ槍穂高を眺めると、上部に怪しい雲。悪天の兆しのように感じます。
  • 眼下に漂う雲が綺麗でした。
  • 眼下に漂う雲が綺麗でした。
  • 雲の下の世界。
  • 雲の下の世界。
  • そして再び太陽のほうへ目を向けると、悪天へと向かう曇り空によって閉じ込められた光が素晴らしい美しさでした。まずはアンダー気味に。
  • そして再び太陽のほうへ目を向けると、悪天へと向かう曇り空によって閉じ込められた光が素晴らしい美しさでした。まずはアンダー気味に。
  • 拡散したやわらかな光を捉えてみます。上空の帯状の雲の形状が変わり色が際立ってきました。
  • 拡散したやわらかな光を捉えてみます。上空の帯状の雲の形状が変わり色が際立ってきました。
  • 富士山と八ヶ岳もまた美しい色になってきました。
  • 富士山と八ヶ岳もまた美しい色になってきました。
  • 曇りの日ならではの美しい色、雲の流れにただただ魅せられます。
  • 曇りの日ならではの美しい色、雲の流れにただただ魅せられます。
  • 白馬岳が少しだけやわらかな光に包まれてきたかな?と思い振り返ってみると..
  • 白馬岳が少しだけやわらかな光に包まれてきたかな?と思い振り返ってみると..
  • 剱の山頂がちょうど朝を迎えたところで、山頂部だけ輝いていました!
  • 剱の山頂がちょうど朝を迎えたところで、山頂部だけ輝いていました!
  • ただ太陽が陰った影響もあって防寒着を着こんでもかなり寒い。風もあるので体感温度は完全にマイナスです。
  • ただ太陽が陰った影響もあって防寒着を着こんでもかなり寒い。風もあるので体感温度は完全にマイナスです。
  • 結局、山頂に2時間ほども過ごしていました。からだが冷え切ったのでテントに戻ります。針ノ木岳と立山。
  • 結局、山頂に2時間ほども過ごしていました。からだが冷え切ったのでテントに戻ります。針ノ木岳と立山。
  • すっかり太陽が隠れてしまったと思っていると、薬師岳にだけまだ光が残っていました。4つのカール地形が際立ちます。
  • すっかり太陽が隠れてしまったと思っていると、薬師岳にだけまだ光が残っていました。4つのカール地形が際立ちます。
  • 雨が降る前にある程度下りてくることができてひと息ついていると、オコジョに出会いました!どこにいるでしょう?(答:中央左の大きな岩の下です)
  • 雨が降る前にある程度下りてくることができてひと息ついていると、オコジョに出会いました!どこにいるでしょう?(答:中央左の大きな岩の下です)
  • 近付いても写真を撮っても逃げるどころか周りを走り回っています。
  • 近付いても写真を撮っても逃げるどころか周りを走り回っています。
  • かくれんぼをしながら遊んでいるみたいでとても好奇心旺盛なオコジョ。
  • かくれんぼをしながら遊んでいるみたいでとても好奇心旺盛なオコジョ。
  • よく見るとからだが小さく、まだ若いのかもしれません。
  • よく見るとからだが小さく、まだ若いのかもしれません。
  • 10分以上も近くで遊んでいたのでゆっくりと撮らせてもらえたこと、きっともう生涯こんなチャンスはないように思います。
  • 10分以上も近くで遊んでいたのでゆっくりと撮らせてもらえたこと、きっともう生涯こんなチャンスはないように思います。
  • オコジョと別れた直後に激しい大雨に遭いましたが、かけがえのない体験になりました。
  • オコジョと別れた直後に激しい大雨に遭いましたが、かけがえのない体験になりました。