仙丈ヶ岳
2016/04/30~2016/05/03
仙丈ヶ岳
 
2016/04/30(土):晴れ:歌宿~北沢峠~五合目(幕営)
2016/05/01(日):曇り:五合目~小仙丈ヶ岳~五合目(幕営)
2016/05/02(月):晴れ:五合目~小仙丈ヶ岳~仙丈ヶ岳~仙丈小屋往復(幕営)
2016/05/03(火):曇り:五合目~北沢峠~歌宿
*
● 2016/04/29 ●

スケジュールも天候も日数にゆとりができたので、初日は移動日にしました。南アルプスの北部とはいえ、自宅から片道5時間ほどかかります。 夜8時に南アルプス林道バスの発着地点となる仙流荘に着いた時は、第一駐車場はほぼ満車。事前に電話で確認したところ、この時期の仙流荘の駐車場は満車になることはないとのことでしたが、 今年は北アルプスよりも南アルプスの方がお天気が良さそうなことが理由にあるのかもしれません。ただ最近は道路を挟んだ場所に第二駐車場もできたようです。 駐車場のすぐ近くにバス停と綺麗なトイレがありました。駐車場の照明は夜10時になると消灯され安眠できました。

● 2016/04/30 ●

始発は6時5分。登山届を提出する際に、五合目付近で幕営させていただくこと、5月1日は天候悪化の恐れがあるので、その場合は登頂は5月2日にすること、日数分の携帯トイレを持参していること、 そして当然ですが幕営の際は植生など決して傷めないことを報告した上で入山させていただきました。
1年で最も荷物が重くなる残雪期な上に今回は入山日数も長く、すべてのことを小屋に頼ることはできないため、85Lザックに荷物が収まらず、バスに乗る前に荷物を詰めるのに四苦八苦。至上最強の重さになってしまいました。 最初の難関はバスへの荷物持ち込みです。 始発は混み合うため1台のバスではまかなえず、想定通り2台目のバスに比較的ゆとりを持って乗ることに成功。他の方にご迷惑にならず助かりました。

この時期はまだ歌宿までしかバスが運行されないため、登山口のある北沢峠まで林道歩きです。 なるべく体力を温存したいので、写真を撮らず、時間が許される限りのんびりと歩きます。 鋸岳の素晴らしく険しく美しい岩峰群、カラマツや白樺の美しい樹々、見下ろせば戸台から続く戸台川沿いの冬ルートと比べると驚くほどの標高差だったりで飽きることはありません。 でも杉林から離れているはずなのにくしゃみと鼻水に散々苦しめられ、そしてそろそろいい加減アスファルト道に足もかなり辛くなってきた頃、大平山荘に着きました。山荘横からの近道ルートをしばらく登ればようやく北沢峠です。

最近リニューアルされたこもれび山荘でしばらく休憩させていただいた後、11時に出発。 登り始めは全く残雪がありませんでしたが2合目を過ぎると登山道上は日陰になるため凍った雪があらわれ、迷わずアイゼンを装着。固く締まった氷にアイゼンの歯が効き登りやすく、 4合目あたりから急登になりましたが想像していたよりも早く5合目に着きました。 5合目からしばらく登った平坦地にしっかり整地してテントを張ります。 さすが南アルプス、森林限界はさらに上なのでこの標高でも展望はほとんどありません。 最後の力を振り絞って日の入りの時間に森林限界近くまで登ると、甲斐駒ヶ岳とアサヨ峰、そして秋に登った鳳凰三山を間近に眺めることができて感激。 ただ天気予報を見ると、翌日の稜線は暴風となるほどの風の強さになりそうです。山頂までは急登やナイフリッジなどの難関があるので、翌日の登頂はほぼ諦めながらテントに戻りました。

● 2016/05/01 ●

夜テントの中で過ごしていると風が激しく強く、上空は唸り声をあげていて怖い。 それは朝になっても変わらず、そして前日の疲れが思っていたよりも残ったのでご来光も見に行かず、翌日のために体力温存、1日のんびりとテントの中で過ごすことにしました。 朝ごはんを食べてうとうと・・お昼ごはんを食べてうとうと・・などと贅沢な時間を過ごしていると、曇りがちの強風のお天気にもかかわらず多くの方が稜線に向かって登っていきます。 テントを張った場所は樹林帯、そして地形的にもほとんど風が通らず穏やかで助かりました。
かろうじて電波が届いたのでニュースを見ると、北アルプスでは大量遭難の情報。仙丈ヶ岳も風が強いので皆さん無事に下りてきますようにと祈りながら、下りて来られた方々にお話を聞きました。 稜線は時折、体ごと持っていかれそうなほどの風が吹き、早々に下りて来られたようです。やはり自分の技術では今日は停滞を決めたことが正解だったようです。

夕方行けるところまで、とは言っても風の様子を見ながらも何とか小仙丈ヶ岳まで登れたら、という思いで夕方4時にテントを出発。森林限界を超えると風が強くなり、そして周囲の山々の高い頂きは暗雲の中。 下山の方がいたのでお話を伺うと、仙丈小屋の避難小屋に泊まる予定をしていたけれど、悪天のため引き返して来られたとのこと。 夕陽は難しいかな・・と思いながら、それでもまだ太陽があらわれる可能性はあると思い予定通り先へ進みます。

小仙丈ヶ岳直前の急登があらわれた頃、雲間から太陽の光!最初の懸念事項のこの急登は、雪が適度に緩み、多くのトレースのおかげで難なくクリア。 そしてまもなく小仙丈ヶ岳の頂きに到着しました。ただ太陽は隠れ、周囲は強風、厳しい寒さ、しかも怪しい雲行きに・・。耐えられるだけ耐えようと思っていましたが、今にも降りそうな空と、あまりの絶望的な雰囲気に、 日の入り20分前に撤退決定。ところが下り始めると、次第にルートが分からなくなってしまいました。迷うようなところはなかったはずと思いながらルートを探してみても行き着いたその先は危険を感じるところばかり。 雲行きは更に怪しくなり時間は刻々と過ぎ、気持ちは焦るばかり。このルートしかないと思い込んでいましたが、迷ったときは早々に引き返してみるのが登山の鉄則。 山頂まで登ってみると、すぐに初めからルートを間違えていたことに気付きました。ひと安心したところに、突然、雲間から温もりを感じる太陽の光があらわれました! ルートを間違えたからこそ見ることのできた光に感謝しながら急いで三脚を立てて太陽に向き合います。怪しげな雲から突如あらわれた希望の光。翌日も期待できそうな気持ちになりました。

● 2016/05/02 ●

ところが翌日、気合を入れて約3時間前の2時に起き、3時にテントを出て小仙丈ヶ岳山頂に4時過ぎに到着しましたが、一面雲に覆われどんよりとした空のまま。 残念ながらご来光の時刻を過ぎても一向に太陽があらわれる気配はありません・・。風は相変わらず強く、太陽光がないため気温は低いまま。日の出30分後、待ちに待った光がようやくあらわれましたが光が弱く寂しげなご来光でした。 ただ弱い光でも太陽があらわれたこと、そして高曇りのおかげで周囲の山々はすべて見渡せることに感謝します。 仙丈ヶ岳までの稜線は比較的なだらかだと思っていましたが、実際に歩いてみると何度も何度もピークを越えなければならず、小仙丈ヶ岳直下以外にも、このそれぞれのピークに急登があらわれます。 そして一部岩稜歩きがありナイフリッジがあり、まだ雪が一部凍っているので気を付けながら歩きます。次第に雲が流れ、気付けば青空が広がってきました。 標高1、2、3位の富士山や北岳、間ノ岳をはじめ、南アルプス南部の山々に光がまわり始めました。 そして、北アルプスや中央アルプスまでも望むことができるほどの良いお天気に。風も予報通りおさまり穏やかなお天気になってきました。

仙丈ヶ岳山頂に到着した時は、すっかり良いお天気に。仙丈ヶ岳には氷河が残した雄大な3つの圏谷、山梨県側に小仙丈沢カールと大仙丈沢カールがあり、長野県側に藪沢カールがあります。 その藪沢カールに仙丈小屋が建ち、この時期は避難小屋として開放されているので休憩に使わせていただきました。心地よい小屋の中で、しばらくお昼寝してしまいました。 仙丈小屋近くの残雪は、やはりおそらくこの時期としてはかなり少なく、氷河の置き土産のモレーンまでもが一部姿をあらわしていました。 この時期にしか歩くことのできない藪沢カールの中心部をお散歩した後、再び山頂へ。二度目となるナイフリッジでも、高所が苦手なのでなかなか心にゆとりができず相変わらずまともな写真を撮ることができないまま通過します。 その後はのんびりお散歩するようにして小仙丈ヶ岳まで戻るとちょうど日の入りの1時間前。 ただ今回はほとんど雲がないため面白みに欠ける日の入りとなってしまいましたが、この1日、穏やかな天候になり無事に山頂まで往復させていただいた仙丈ヶ岳に感謝しながら太陽を見送りました。

● 2016/05/03 ●

朝、鳥のさえずりを聞きながら起きてのんびりとテントを乾かしながら撤収作業。三合目で雪はすっかりなくなり、この数日の暖かさでまた随分と雪解けが進んだようです。 久しぶりに重い荷物を担ぐのでまた気合を入れて下山しましたが、北沢峠まではあっという間でした。最終バスまで時間があるので北沢峠のテン場を見学した後、歌宿までの林道歩き。 林道歩きではそろそろ新緑や山桜を楽しめるかもしれないと思っていましたが、歌宿に着くまではまだほとんど始まっていませんでした。 新緑はバスの中から楽しむことになりましたが、この辺りの新緑のあまりの美しさに感激し、いつか徒歩で林道歩きだけを楽しみたい気持ちになりました。
ただ下山は思いのほか、この林道歩きがとても体に重く負担がかかったようです。下山した翌日の朝に起きた時に、ふくらはぎからアキレス腱にかけてこれまで経験したことのない痛みが出たこともこの林道歩きが原因でした。 登山靴と重装備での林道歩きは大変でしたが、5月連休の割には静かなアルプスを楽しむことができました。

● 写真(40) ●
  • 6時5分の始発バスに乗って歌宿到着。この時期はまだ北沢峠まで林道歩きです。
  • 6時5分の始発バスに乗って歌宿到着。この時期はまだ北沢峠まで林道歩きです。
  • 2合目を過ぎたところでアイゼンを装着。4合目あたりから急登になりましたが想像していたよりも早く5合目に着きました。
  • 2合目を過ぎたところでアイゼンを装着。4合目あたりから急登になりましたが想像していたよりも早く5合目に着きました。
  • 夕方、最後の力を振り絞って日の入りの時間に森林限界近くまで登ります。
  • 夕方、最後の力を振り絞って日の入りの時間に森林限界近くまで登ります。
  • 甲斐駒ヶ岳とアサヨ峰の迫力ある姿、あまりの間近に迫る姿に驚きました。
  • 甲斐駒ヶ岳とアサヨ峰の迫力ある姿、あまりの間近に迫る姿に驚きました。
  • 翌日の夕方は小仙丈ヶ岳まで。ピーク直前の急登があらわれた頃、雲間から太陽の光!
  • 翌日の夕方は小仙丈ヶ岳まで。ピーク直前の急登があらわれた頃、雲間から太陽の光!
  • ただ小仙丈ヶ岳に着くと、太陽は隠れ、周囲は強風、厳しい寒さ、しかも怪しい雲行きに・・。
  • ただ小仙丈ヶ岳に着くと、太陽は隠れ、周囲は強風、厳しい寒さ、しかも怪しい雲行きに・・。
  • 耐えられるだけ耐えようと思っていましたが、今にも降りそうな空と、あまりの絶望的な雰囲気。
  • 耐えられるだけ耐えようと思っていましたが、今にも降りそうな空と、あまりの絶望的な雰囲気。
  • 諦めて下山後、ルートを間違えて再び頂きに戻って来ると、突然、雲間から温もりを感じる太陽の光があらわれました!
  • 諦めて下山後、ルートを間違えて再び頂きに戻って来ると、突然、雲間から温もりを感じる太陽の光があらわれました!
  • ルートを間違えたからこそ見ることのできた光に感謝します。
  • ルートを間違えたからこそ見ることのできた光に感謝します。
  • 日没後の淡い光の中に浮かび上がる鋸岳に魅せられました。
  • 日没後の淡い光の中に浮かび上がる鋸岳に魅せられました。
  • 翌日のご来光は、日の出30分後に待ちに待った光がようやくあらわれました。
  • 翌日のご来光は、日の出30分後に待ちに待った光がようやくあらわれました。
  • ただ残念ながら光が弱く寂しげなご来光。でもひとときでも光があらわれたことに感謝です。
  • ただ残念ながら光が弱く寂しげなご来光。でもひとときでも光があらわれたことに感謝です。
  • しばらくの間、太陽と雲の動きを楽しみました。
  • しばらくの間、太陽と雲の動きを楽しみました。
  • 高曇りのおかげで周囲の山々はすべて見渡せます。標高1、2、3位の富士山、北岳、間ノ岳。
  • 高曇りのおかげで周囲の山々はすべて見渡せます。標高1、2、3位の富士山、北岳、間ノ岳。
  • 仙丈ヶ岳までの稜線は何度もピークを越えます。振り返って先ほどまで過ごしていた小仙丈ヶ岳の背後に聳える甲斐駒ヶ岳とアサヨ峰。
  • 仙丈ヶ岳までの稜線は何度もピークを越えます。振り返って先ほどまで過ごしていた小仙丈ヶ岳の背後に聳える甲斐駒ヶ岳とアサヨ峰。
  • 中央アルプスと御嶽と乗鞍。眼下に仙丈小屋が見えてきました。
  • 中央アルプスと御嶽と乗鞍。眼下に仙丈小屋が見えてきました。
  • 少しずつ天候が回復し、南アルプス南部の山々に光がまわり始めました。
  • 少しずつ天候が回復し、南アルプス南部の山々に光がまわり始めました。
  • ナイフリッジはしっかりとトレースが付いていて助かりました。高い所が苦手なので高度感のある写真は撮れないまま、なるべく足もとだけを見ながら歩きます。
  • ナイフリッジはしっかりとトレースが付いていて助かりました。高い所が苦手なので高度感のある写真は撮れないまま、なるべく足もとだけを見ながら歩きます。
  • 風も予報通りおさまり穏やかなお天気になってきました。北アルプスも綺麗に望むことができました。
  • 風も予報通りおさまり穏やかなお天気になってきました。北アルプスも綺麗に望むことができました。
  • 仙丈ヶ岳が近付くにつれて、富士山と北岳の間隔も近付きます。
  • 仙丈ヶ岳が近付くにつれて、富士山と北岳の間隔も近付きます。
  • 塩見岳から連なる尾根と平行した尾根の重なりが美しいです。
  • 塩見岳から連なる尾根と平行した尾根の重なりが美しいです。
  • 雪解け進む残雪。仙丈ヶ岳に続く稜線は、綺麗なハイマツが多く感じました。
  • 雪解け進む残雪。仙丈ヶ岳に続く稜線は、綺麗なハイマツが多く感じました。
  • 残雪模様にまわる朝の光。
  • 残雪模様にまわる朝の光。
  • 天候が回復してくると、富士山、北岳、間ノ岳もようやく目覚めたような色になってきました。
  • 天候が回復してくると、富士山、北岳、間ノ岳もようやく目覚めたような色になってきました。
  • 森林限界付近の様子を望遠で眺めてみます。
  • 森林限界付近の様子を望遠で眺めてみます。
  • 3,033mの南アルプスの女王様、仙丈ヶ岳に到着。すっかり青空が広がりました。
  • 3,033mの南アルプスの女王様、仙丈ヶ岳に到着。すっかり青空が広がりました。
  • 山頂から伊那市を挟んだ中央アルプス。こちらの眺めはもうほとんど残雪は残っていません。
  • 山頂から伊那市を挟んだ中央アルプス。こちらの眺めはもうほとんど残雪は残っていません。
  • 先程まで歩いていたルートと甲斐駒ヶ岳を眺めながら、藪沢カールに下ります。
  • 先程まで歩いていたルートと甲斐駒ヶ岳を眺めながら、藪沢カールに下ります。
  • 残雪に輝く光。ナイフリッジ付近を歩く登山者。
  • 残雪に輝く光。ナイフリッジ付近を歩く登山者。
  • 仙丈小屋で休憩させていただきました。しばらくお昼寝。
  • 仙丈小屋で休憩させていただきました。しばらくお昼寝。
  • この時期にしか歩くことのできない藪沢カールの中心部をお散歩。山頂と太陽を見上げます。
  • この時期にしか歩くことのできない藪沢カールの中心部をお散歩。山頂と太陽を見上げます。
  • 大仙丈ヶ岳と南アルプスの山々。
  • 大仙丈ヶ岳と南アルプスの山々。
  • 急登の連続でしたが、下山のほうが不安。慎重に下って振り返ります。
  • 急登の連続でしたが、下山のほうが不安。慎重に下って振り返ります。
  • そろそろ小仙丈ヶ岳に到着です。振り返ると浮かび上がる残雪模様。
  • そろそろ小仙丈ヶ岳に到着です。振り返ると浮かび上がる残雪模様。
  • 行儀よく立つダケカンバたちに出会いました。
  • 行儀よく立つダケカンバたちに出会いました。
  • 小仙丈ヶ岳に戻ってきました。小仙丈沢カールを振り返ります。
  • 小仙丈ヶ岳に戻ってきました。小仙丈沢カールを振り返ります。
  • 夕陽まで1時間ほど、ほぼ無風の小仙丈ヶ岳でのんびりと夕陽を待ちます。
  • 夕陽まで1時間ほど、ほぼ無風の小仙丈ヶ岳でのんびりと夕陽を待ちます。
  • 北岳と間ノ岳が夕方の色になってきました。
  • 北岳と間ノ岳が夕方の色になってきました。
  • 太陽は、白山に落ちていきました。
  • 太陽は、白山に落ちていきました。
  • この1日、穏やかな天候になり無事に山頂まで往復させていただいた仙丈ヶ岳に感謝しながら太陽を見送りました。
  • この1日、穏やかな天候になり無事に山頂まで往復させていただいた仙丈ヶ岳に感謝しながら太陽を見送りました。