鳳凰三山
2015/11/21~2015/11/23
鳳凰三山
 
2015/11/21(土):晴れのち曇り:青木鉱泉~ドンドコ沢~地蔵岳~鳳凰小屋(幕営)
2015/11/22(日):曇り時々晴れ:鳳凰小屋~赤抜ノ頭~観音岳~薬師岳~観音岳~地蔵岳~鳳凰小屋(幕営)
2015/11/23(祝):晴れのち曇り:鳳凰小屋~燕頭山~御座石温泉
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今年の11月は異常気象で驚くほど暖かい日が続き、立山も槍穂高も、以前積もった雪の大部分はもう解けてしまったようです。 この三連休はまずはこの時期に一度入ってみたかった燕岳を考えましたが、この状況を考えるといつも以上に賑やかになりそうで駐車場の争奪戦も大変そう..。 そこで、いつか登るなら薄っすらと雪が積もった頃にと考えていた鳳凰三山を調べてみると、鳳凰小屋がこの連休まで営業されているとのことでこちらに決めました。

● 2015/11/21 ●

初めての南アルプス。ただ鳳凰三山は南アルプスの中でも北部に位置するので燕岳よりも少し遠いくらいかなと思っていたら、自宅からちょうどほぼ300kmありました。 初日はテントを張った後にオベリスクのある稜線まで登りたいので、できる限り飛ばして青木鉱泉に着いたのは6時前。4時間半で到着です。 さすがこちらも人気があるお山、駐車場の心配をするほどではありませんでしたが、すでに多くの車が止まっていました。青木鉱泉はこの時期はもう営業されていませんが、駐車場代は1日750円必要でした。 運転に疲れたのでしばらく休憩したい気持ちですが、せっかく早く着いたので早く出ようと思い、日の出の時間を少し過ぎた6時半に出発です。

ドンドコ沢はテン泊装備ではまさかこれほど厳しい登りになるとはまったく想像していませんでしたが、考えてみると青木鉱泉の標高は1,150mしかないので、2,750mの稜線までの標高差は1,600mにもなります。 でもルート沿いに、南精進滝、白糸の滝、そして五色の滝と次々にあらわれる美しく個性のある大きな滝たちに癒されるので、とても魅力のあるルートでした。 中でも最も標高の高い2,150mに位置する五色の滝は、この標高でこれだけの落差とこれだけの水量の滝が形成されていることに驚きます。 そして近寄ってみると、滝壺の繊細な美しさ。滝に打たれるふたつの岩石にも魅せられます。
南精進滝から五色の滝まではこのルートの中でも核心部の急登ですが、コースタイムの倍の時間をかけてようやく乗り越えたところにこの滝に出会ったのも感激する想いがより大きくなったのだと思います。

鳳凰小屋に到着後、休む間もなくテントを張り小屋のご主人にご挨拶をした後、目いっぱいの防寒対策をして稜線へ。 ようやく樹林帯を抜けたと思えば、蟻地獄のようなやわらかな砂地の急勾配ルートになりました。時間がないので焦れば焦るほど、砂に足が取られます。斜度何%くらい?怖く感じるところもありました。 ただ周りを見渡せば、これほどの砂地で多くのダケカンバたちが生きていることに驚かされます。 これまで北アルプスの様々な場所でダケカンバに出会って来ましたが、このような場所で生きている姿を見たのは初めてでとても新鮮です。でももしかするとこの砂地は稜線から風で吹き飛ばされてきたもので表面だけなのでしょうか?

ようやくオベリスク(地蔵岳)に着いたのは、ちょうど日の入りの頃。稜線からは富士山は残念ながら観音岳に隠れています。赤抜沢の頭に登りかけると日が沈んでしまったので、振り返りオベリスクを撮ることにします。 それにしてもなぜこのようなスタイルの岩峰に?長い年月をかけパズルのように積み重ねられた巨岩たち。同じく美しい岩峰の槍ヶ岳は隆起で形成されたことを思うと、また異なった魅力を感じます。 テントに戻るとホッとして、睡眠不足とこの1日の疲労のためあっという間に爆睡してしまいました。

● 2015/11/22 ●

明け方は空一面に雲が広がりそれほど冷え込まず、とても11月下旬とは思えない暖かさ。季節が1ヶ月遅れているような感じです。
ご来光を稜線で眺めるため、ご来光の1時間半前にテントを出発します。すでに多くの方が稜線へ向かっていました。 ところが樹林帯で一度道迷いをしてしまいました。踏み跡が多く、ルートが分からなくなりました。前日に練習してるはずなのに..。暗いと道の雰囲気がまったく異なります。 幸いにも少し戻っただけで済み時間のロスは最小限、稜線に着いたのはご来光の時間の少し前でした。何とか間に合ってホッとしましたが、今度はなかなか太陽が昇ってきません。 痺れを切らして赤抜沢ノ頭へ。すると北岳と間ノ岳にベールのようなやさしく美しい雲がかかり魅せられます。展望台からのオベリスクも最高です。

のんびりと観音岳へ向かっていると、まだまだ空全体に雲が広がっていますがようやく薄日が射してきました。 険しい観音岳へのルートを歩きながら少しずつ遠ざかるオベリスク。南アルプスは森林限界が高いため2,600m辺りの稜線にもダケカンバやカラマツがあちこちで見られました。 鳳凰三山を形成する美しい花崗岩と白砂、そしてすっかり葉を落としたダケカンバたちが端正なオベリスクに映えてとても美しく、どこを撮っても絵になります。 観音岳に着くと、雲海から姿をあらわし大きく裾野を広げる富士山に感激。南アルプスから望む富士山はとても大きくて驚きます。

薬師岳へはなだらかなお散歩道。ルートがなだらかになったため日本庭園のような雰囲気を楽しんでいると薬師岳小屋に着きました。しばらく休憩させていただいた後、外に出ると青空が広がっていました! 青空と太陽の光で風景が一変します。ところがそれもしばらくで今度は見る見る間に白峰三山との間を流れる野呂川からガスが湧き上がり、北岳や甲斐駒ヶ岳を覆い始めました。 そして観音岳を過ぎ赤抜沢ノ頭に戻る頃には、ますます雲が広がり、富士山も八ヶ岳も他の南アルプスの山々もすべてがすっかり雲の中に隠れ天候悪化へと向かう冷たい風が強くなってきました。 でもそれもまた願った通りの変化、そのおかげで稜線の往路と復路はまったく異なる光景を楽しむことができました。

朝の6時半に地蔵岳から歩き始めたのに、再びに戻ってきたのは午後3時。いったいどれだけの時間をかけているの?といった感じですが、少しのんびりすればちょうど夕陽の時間になります。 その前に、オベリスクへ可能なところまでチャレンジ。半分ほど登ったところでかなり険しくなりここで断念。 そろそろ疲れてきたことと夕陽は望めそうにもないお天気なので迷いましたが、後で後悔したくない気持ちと、もしかするかもしれないと思って再び赤抜沢ノ頭に登り返します。 幸い大きな岩があったので、風を避けながら岩につく地衣類や、ドライフラワーになったシャクナゲのお花をマクロレンズで撮りながら過ごしましたが、光が射す様子のないまま日の入りの時間を迎えてしまいました。
テントに戻り予報をみると、明日はやはり朝から下り坂。車の運転も考えると時間がないのでご来光は諦めて、ほどほどで撤収することにしました。

● 2015/11/22 ●

ところがなぜか星空が出たまま朝を迎えたため、前日より冷え込みました。とはいってもテントに薄っすらと霜が降りるほどで済みました。 そして空には青空が広がっています。少し悔しい気持ちを抱えながら撤収作業をしていると、東の空に太陽の光を感じて小屋のほうに行ってみれば太陽の光。 小屋のご主人に教えていただき、沢のほうに少し降りると雲海上に太陽を見ることができました。
7時半に出発です。綺麗に整備されたなだらかな道を歩いていると、突然視界が開け、今朝も雲海から富士山が姿をあらわしていました! 空には薄雲が広がっているため光が拡散し、やわらかな表情で撮ることができました。

その後も樹間からオベリスクや甲斐駒ヶ岳も望むことができお天気の良さに意外でしたが、天候悪化へ向かうことは確実なので先へ急ぎます。 しっとりとした雰囲気の針葉樹林帯を過ぎて燕頭山に着く頃にはすっかりガスの中へ。 2,100mの燕頭山まではなだらかなのでその後の急坂はどの程度なのかと思うと心配でしたが、同じ急坂でもドンドコ沢と比べるととても歩きやすいルートで助かりました。 ただ御座石温泉の最後の最後まで激しい急坂が続くので要注意です。御座石温泉に着く頃に雨粒が落ちてきたのを感じ、休憩もそこそこに青木鉱泉を目指します。 このルートは不明瞭なところがある上、季節柄、ルート上に落ち葉が大量に堆積して分かり辛い場所もありましたが、印を追っていけば何とか大丈夫でした。 白樺林からカラマツ林に代わった頃、ドンドコ沢の沢音を感じるようになり、何とか雨に降られないまま青木鉱泉に着くことができました。

初めての南アルプスでした。北アルプスと比べて森林限界の標高が300mほど高いことがどうかなと思っていましたが、 鳳凰三山の稜線はちょうど森林限界よりも少しだけ高い位置になり稜線周辺に思いがけず樹々が多く生きていたことで、最高の展望と花崗岩と白砂、そこにダケカンバたちのつくり出す風景がとても素晴らしく感じました。
薄っすらと雪が積もった頃にと考えていましたが、稜線までの道の険しさや、花崗岩と白砂を見ることができたことを思うと、まずは雪が付く前に登れたことが良かったと思います。 ただ花崗岩で形成されているお山は、この鳳凰三山と甲斐駒ヶ岳の辺りだけとのこと。他の山域は森林限界が高いことでどのような風景をつくり出しているのでしょう? 南アルプスは遠いのでアクセスが大変ですが、また機会を見て訪れてみようと思います。

● 写真(42) ●
  • 樹林帯に朝の光が回ってきました。背後のほぼ葉を落とした樹々たちを背景に、苔の色が鮮やかに浮かび上がりました。
  • 樹林帯に朝の光が回ってきました。背後のほぼ葉を落とした樹々たちを背景に、苔の色が鮮やかに浮かび上がりました。
  • 最も標高の高い2,150mに位置する五色の滝は、この標高でこれだけの落差と水量の滝が形成されていることに驚きます。
  • 最も標高の高い2,150mに位置する五色の滝は、この標高でこれだけの落差と水量の滝が形成されていることに驚きます。
  • 近寄ってみると、滝壺の繊細な美しさ。滝に打たれるふたつの岩石にも魅せられます。
  • 近寄ってみると、滝壺の繊細な美しさ。滝に打たれるふたつの岩石にも魅せられます。
  • 蟻地獄のような急登。背後には街並み。これほどの砂地で多くのダケカンバたちが生きていることに驚かされます。
  • 蟻地獄のような急登。背後には街並み。これほどの砂地で多くのダケカンバたちが生きていることに驚かされます。
  • ようやくオベリスク(地蔵岳)に着いたのは、ちょうど日の入りの頃。
  • ようやくオベリスク(地蔵岳)に着いたのは、ちょうど日の入りの頃。
  • 稜線からは富士山は残念ながら観音岳に隠れています。
  • 稜線からは富士山は残念ながら観音岳に隠れています。
  • 赤抜沢の頭に登りかけると日が沈んでしまったので、振り返りオベリスクを撮ることにします。
  • 赤抜沢の頭に登りかけると日が沈んでしまったので、振り返りオベリスクを撮ることにします。
  • 日の出の1時間半前にテントを出発しましたが、太陽の光を見ることはできませんでした。
  • 日の出の1時間半前にテントを出発しましたが、太陽の光を見ることはできませんでした。
  • ご来光を見ることはできませんでしたが、北岳と間ノ岳にベールのようなやさしく美しい雲がかかり魅せられます。
  • ご来光は残念でしたが、北岳と間ノ岳にベールのようなやさしく美しい雲がかかり魅せられます。
  • 赤抜沢の頭の展望台からのオベリスクも最高です。
  • 赤抜沢の頭の展望台からのオベリスクも最高です。
  • のんびりと観音岳へ向かっていると、まだまだ空全体に雲が広がっていますがようやく薄日が差してきました。
  • のんびりと観音岳へ向かっていると、まだまだ空全体に雲が広がっていますがようやく薄日が差してきました。
  • 間近に聳え立つ、北岳と間ノ岳の農鳥岳の白峰三山。
  • 間近に聳え立つ、北岳と間ノ岳の農鳥岳の白峰三山。
  • 振り返ると、オベリスク上空の雲が薄くなってきました。鳳凰三山を形成する美しい花崗岩と白砂が綺麗。
  • 振り返ると、オベリスク上空の雲が薄くなってきました。鳳凰三山を形成する美しい花崗岩と白砂が綺麗。
  • そして鳳凰三山の最高峰、観音岳に向かって登ります。
  • そして鳳凰三山の最高峰、観音岳に向かって登ります。
  • 花崗岩を前景に。雲海に浮かんでいるのは八ヶ岳。
  • 花崗岩を前景に。雲海に浮かんでいるのは八ヶ岳。
  • すっかり葉を落としたダケカンバたちが端正なオベリスクに映えてとても美しく、どこを撮っても絵になります。
  • すっかり葉を落としたダケカンバたちが端正なオベリスクに映えてとても美しく、どこを撮っても絵になります。
  • 観音岳に着くと、雲海から姿をあらわし大きく裾野を広げる富士山に感激します。
  • 観音岳に着くと、雲海から姿をあらわし大きく裾野を広げる富士山に感激します。
  • 南アルプスから望む富士山はとても大きくて驚きます。200mmの最大ズームで。
  • 南アルプスから望む富士山はとても大きくて驚きます。200mmの最大ズームで。
  • 薬師岳小屋でしばらく休憩させていただいた後、外に出ると青空が広がっていました!
  • 薬師岳小屋でしばらく休憩させていただいた後、外に出ると青空が広がっていました!
  • 薬師岳周辺は、なだらかなお散歩道。こちらにも小さなオベリスクがありました。
  • 薬師岳周辺は、なだらかなお散歩道。こちらにも小さなオベリスクがありました。
  • ところが見る見る間に野呂川からガスが湧き上がってきて、何だか不穏な雰囲気に。
  • ところが見る見る間に野呂川からガスが湧き上がってきて、何だか不穏な雰囲気に。
  • この素晴らしい展望はもうしばらくで見納めかも?と思い、観音岳でのんびりと過ごします。
  • この素晴らしい展望はもうしばらくで見納めかも?と思い、観音岳でのんびりと過ごします。
  • ガスが湧き上がる中の甲斐駒ヶ岳とオベリスク。
  • ガスが湧き上がる中の甲斐駒ヶ岳とオベリスク。
  • ほどなくして甲斐駒ヶ岳の山頂部がすっかり雲に隠れてしまいました。
  • ほどなくして甲斐駒ヶ岳の山頂部がすっかり雲に隠れてしまいました。
  • どちらにしても観音岳から先は富士山は隠れてしまうので見納めです。
  • どちらにしても観音岳から先は富士山は隠れてしまうので見納めです。
  • そろそろオベリスクに向かって歩きます。午後1時半、この時間になると稜線上ではほとんど人に会うことはありませんでした。
  • そろそろオベリスクに向かって歩きます。午後1時半、この時間になると稜線上ではほとんど人に会うことはありませんでした。
  • ちょうど稜線が静かになった頃から太陽の光を感じ始めたので、下山された方々が残念です。
  • ちょうど稜線が静かになった頃から太陽の光を感じ始めたので、下山された方々が残念です。
  • 赤抜沢ノ頭までは少し険しい道になるので、気合を入れ直します。
  • 赤抜沢ノ頭までは少し険しい道になるので、気合を入れ直します。
  • ちょうど森林限界を少し越える稜線に生きているダケカンバとともにオベリスクを眺める楽しみ。
  • ちょうど森林限界を少し越える稜線に生きているダケカンバとともにオベリスクを眺める楽しみ。
  • 赤抜沢ノ頭に着く頃はすっかり周囲は暗い雲に覆われました。見下ろすとまだ感じられた太陽の光。
  • 赤抜沢ノ頭に着く頃はすっかり周囲は暗い雲に覆われました。見下ろすとまだ感じられた太陽の光。
  • 悪天候へ移り変わるときの綺麗な光を見ることができました。
  • 悪天候へ移り変わるときの綺麗な光を見ることができました。
  • 夕陽までの時間は、オベリスクを登ってみることにします。半分ほど登ったところでかなり険しくなり断念。
  • 夕陽までの時間は、オベリスクを登ってみることにします。半分ほど登ったところでかなり険しくなり断念。
  • 夕陽を待つまでの間、過ごさせてもらった大岩に付く地衣類。
  • 夕陽を待つまでの間、過ごさせてもらった大岩に付く地衣類。
  • ドライフラワーになったシャクナゲのお花を眺めながら過ごしましたが、光が射す様子のないまま日の入りの時間を迎えてしまいました。
  • そしてドライフラワーになったシャクナゲのお花を眺めながら過ごしましたが、光が射す様子のないまま日の入りの時間を迎えてしまいました。
  • 天候悪化のため無理だと思っていましたが、鳳凰小屋から思いがけず太陽の光を望むことができました。
  • 天候悪化のため無理だと思っていましたが、鳳凰小屋から思いがけず太陽の光を望むことができました。
  • 御座石温泉に向かって歩き始めると、突然視界が開け、今朝も雲海上に富士山が姿をあらわしていました!
  • 御座石温泉に向かって歩き始めると、突然視界が開け、今朝も雲海上に富士山が姿をあらわしていました!
  • そして遠ざかるオベリスクにお別れします。甲斐駒ヶ岳もまだ見えています。
  • そして遠ざかるオベリスクにお別れします。甲斐駒ヶ岳もまだ見えています。
  • そして辺りはガスに覆われます。燕頭山までは崩落地があちこちで見られました。
  • そして辺りはガスに覆われます。燕頭山までは崩落地があちこちで見られました。
  • 登山道は南アルプスらしい鬱蒼とした雰囲気の森になりました。
  • 登山道は南アルプスらしい鬱蒼とした雰囲気の森になりました。
  • 濃いガスに覆われながらも時折光が感じられ、何とか雨に降られずに済みました。
  • 濃いガスに覆われながらも時折光が感じられ、何とか雨に降られずに済みました。
  • 御座石温泉から青木鉱泉に向かう途中で見た、サルノコシカケ科のキノコ?
  • 御座石温泉から青木鉱泉に向かう途中で見た、サルノコシカケ科のキノコ?