唐松岳・五竜岳
2013/09/06~2013/09/10
唐松岳・五竜岳
 
2013/09/06(金):曇り:八方尾根~唐松岳(テン泊)
2013/09/07(土):曇りのち雨:唐松岳(テン泊)
2013/09/08(日):雨のち曇り:唐松岳(テン泊)
2013/09/09(月):晴れ:唐松岳~五竜山荘(テン泊)
2013/09/10(火):晴れ:五竜山荘~五竜岳~遠見尾根
● 2013/09/06 ●

想像以上に週末の秋雨前線が活発&停滞するようで、前線の動きが少しだけ落ち着く予報の金曜に入ってしまうか、または午後もしくは夕方からお天気が良くなりそうな予報の日曜に入るか迷いましたが、 今年はのんびりと時間を掛けて空の変化を楽しむ旅に出かけたいと思っていたので停滞を覚悟で金曜にお山に入ることにしました。 5日分の食料と防寒具をザックに詰め込むと25kgの重さに。数日前から体調があまり良くなく当日も念のため風邪薬を飲みながら八方尾根へ。
金曜は晴れの予報でしたが空一面曇り空。白馬三山や五竜、鹿島槍の展望はもちろんのこと、八方池も一体どこに?と思うような濃いガスの中を歩きます。 下ノ樺のダケカンバの葉が一部黄色く色付くのを目にすると、樹々からいただくマイナスイオンに少し元気が出てきました。 足もとのお花を眺めながら、そして同じく唐松岳を目指す人たちと言葉を交わしながら、のんびりと稜線へ。今にも泣き出しそうな空でしたが、何とか雨具を出さずに済みました。

テン場ではすでに5張りほどのテントが張られていました。テントを張り終えた午後4時。ガスが流れ青空が顔を出しました!今日初めて見た青空。日の入りまでまだ2時間以上ありますが準備して山頂へ向かいます。
山頂へ向かう途中で、一見、親と変わらない姿の3羽のヒナに出会い、心あたたまります。日の入りまであと30分の頃、太陽が雲の中に隠れていきました。 でもこれから悪天へ向かうというのに思いがけず太陽が顔を出したこと、青空を眺めることができたことに感謝です。 そして綺麗な雲海も。残念ながら立山と剱は雲の中でしたが、毛勝三山は辛うじてほぼ姿があらわれていました。翌朝も太陽の光を少しでも感じることができたらと思いながらテントに戻りました。

● 2013/09/07 ●

翌朝4時にテントから顔を出すと星は見えませんが雨はまだ降っていないことにホッとしながら、出掛ける準備。 5時前に山頂に到着した時は周囲は濃いガスに覆われていましたが、思いがけずガスの切れ間から明るい空が覗き、もしかしたらと期待しながら日の出を待ちますが、 ちょうど日の出の時間になると再び濃いガスが流れ空が見えなくなり、そして一切展望がきかなくなってしまいました。 もう無理かな・・と諦めかけたところに、突然、八方尾根に炎のような色が灯りました。まさかの光に大感激。山頂で一緒に過ごしていた方たちを引き留めて良かった。

テントに戻ると本格的に天候悪化へ。仕方がないのでテントの中でのんびりお昼寝&読書をしていると、ふとなぜか嫌な予感がしてテントの隅を覗くとなんと水が溜まっていました。 先ほど小屋へ出かけた際に水が入ってしまったかな?と思いながら絞り出してまたひと眠りしていると、耳横で水の音が聞こえるので嫌な予感がしながらテントの隅を覗くと、また同じくらいの水が。 絞り出した後に小屋に出掛けず、しかもまだ2時間しか経っていないのに・・??他の箇所も見てみても水が溜まっているのを見ると、どうやらテントが全体的に雨漏れしているようです(泣。 今回は激しく雨が降ることが予想されたので事前にテントの底を修理してきましたが、どうやら別の箇所のようです。考えてみればこのテントではもう50泊以上にもなるので激しい雨では耐えられなくなってきているのでしょう。
それからというもの、雨が丸一日降り続ける間、2時間置きに絞り出す作業をその都度30回ほど続けることに。夜になるとますます風雨が強まり、どうやら下界では警報が出ていたようです。

● 2013/09/08 ●

テントを叩き付けるような激しい雨の中、浸水処理のためなかなか熟睡できず、でも何とか夜をしのぎましたが、 早朝テントの中に敷いていた防水シートからも浸水してきてとうとうシュラフ下のマットまで水が来ているのを見たときは心が折れそうでした・・ この防水シートも考えてみればこの10年間酷使してきているので確かに小さい穴がけっこう開いていたように思います・・
浸水作業が続き心身ともにグッタリと疲れたお昼過ぎ。突然空が明るくなり、そしてとうとう丸一日降り続いた雨が止みました。雨が止んだと思えばあっという間にガスが流れ、剱岳が姿をあらわしました! 小屋裏の展望台まで写真を撮りに行き、夕陽までまだ時間があるのでテントの中を整理することに。荷物をすべてテントから出し、濡れてしまった防水シートやマットを乾かします。 まだ太陽は隠れていますが風があるのでしばらく干しておけばほぼ乾き助かりました。つい先ほどまであれほど雨と闘っていたことを思えば、まるで夢のようなひとときです。

日の入り50分前、山頂に到着。まばらに浮かぶ雲上に剱岳。今日になってようやく山頂を見ることができた五竜岳。とうとう明日、五竜方面へ向かうことができると思うと気持ちが昂ってきます。 そして太陽が沈みながら、突然雲間から光があふれ出しました。雲海の流れが激しくなっていく中で、辺り一面あたたかな光に包まれました。それと同時に上空には青空が広がってきました! 富山側から吹く風が雲を運び、ガスの流れと沈みゆく太陽の光によって、剣岳から毛勝三山へと続く北方稜線の山々の表情が刻々と変化します。
そして太陽が沈む頃、空が真っ赤に染まり出しました。綺麗!!こちらに向かって来るガスの流れのタイミングを見ながら夢中でシャッターを押していましたが、ふと撮った写真を液晶で確認すると、 なぜか写真がぼんやりと霞んでいることに気付きました。突然思いがけないことに戸惑いながら考えてみると、肌に感じる寒さから水滴ではなく氷の粒だと判明。保護フィルターに薄く氷が付着していたのです。 慌ててフィルターの曇りを取りもう一枚撮りましたが、この時にはもう既に上空に広がった雲のあの鮮やかな色が、本来の落ち着いた雲の色に戻りつつある頃でした・・。 残念でしたがこの色もまた刻々と変化する美しい色のひとつ。少し前の色とはまた異なった美しい色です。

● 2013/09/09 ●

夜はテントの中は居心地良くなりましたが、翌日の牛首を重い荷物を持って越えることができるかを思い悩んでいるとなかなか寝付けず、あまり睡眠が取れないまま夜が明けてしまいました。 ご来光は小屋上の展望台から。今朝も雲海が綺麗です。そして太陽が昇り振り返ると、光を受けて立山から剱の稜線が赤く染まり出しました。今日は快晴、気持ちの良い登山日和になりそうです。
本日最初の難関は牛首の岩場。牛首を乗り越えられなければ30分で小屋に戻ることになるだろうな(笑)と思いながらあっという間に岩稜帯へ。気持ち良いほどの素晴らしい高度感。 ストックをザックにしまい、気合いを入れます。以前、唐松岳に来た時に空身で牛首を越えてみましたが、しっかりとしたクサリが取り付けられているので、その時はテン泊装備のザックを担いでも大丈夫という確信がありました。 でもいざ実際に来てみると、思いの他、想像以上にザックの重さが気になります。少し滑りやすい岩質ということもあり、ここで足を滑らせたらクサリがあっても無意味、 ザックの重さと自分の体を腕だけで支えることは不可能だと思うと怖い気持ちになり一歩一歩慎重に・・お天気が良く風がないことに救われ、楽しい気持ち半分、怖い気持ち半分程度で済み助かりました。
ただその後も険しい道が続き、なぜこれほどの岩場なのにこの箇所だけクサリが設置されていないのか疑問に思うような箇所もありましたが、後半はなだらかな稜線歩きが続きます。 ただ今度は上空に雲が広がりほとんど展望がきかなくなってしまったまま五竜山荘へ。

テントを張ってもなかなか天気が良くならないので、登頂は翌日にします。 そして夕方になっても山頂が姿をあらわさないまま夕陽の撮影はお隣白岳へ。太陽の色が少しずつあたたかみを増しながら、周囲のガスが時折流れ青空が顔を出したり、またガスが流れ辺り一面覆われたり。 刻々と変化する雲のかたち、雲の色。綺麗・・。そして陽が沈む時間になると、まるで太陽が燃え盛る炎のようになり、より一層激しくなったガスの中に沈んで行きました。あまりの美しい色の変化に感激でした。

● 2013/09/10 ●

翌朝、ご来光を眺めに再び白岳に登ると、唐松岳からの縦走路に美しい滝雲がかかっていました。ただ残念ながらご来光は雲の中へ。 でも朝6時に出発する頃にはまた綺麗に晴れ渡ってきて助かりました。
五竜山頂へは三脚は置いて最低限の荷物で向かいます。そしてそれなりに山頂へ向かう人も多いので一安心。 最初の頃はなだらかな道ですがしばらく登るとすっかり緑濃いハイマツの姿が少なくなり、荒々しい岩稜帯へ。 道がどんどん険しくなりそろそろ始まるな・・と思った頃、ストックをサブザックに入れて、険しい岩壁(G2)を越えたその先に山頂が目前でした。 ちなみにG2ですが、以前、遠見尾根から武田菱の雪形を見ましたがその岩壁のピークがこのG2とのことです。 山頂までの岩場は確かに険しく高度感があり危険な箇所があります。ただ今朝もお天気に恵まれたということもありますが、荷物が軽いので牛首ほど怖くは感じず、逆に楽しいほどで助かりました。 荷物の重さでこれほど感じ方が異なることがあらためて分かりました。

小屋から一時間ほどで2,814mの五竜岳山頂に到着。山頂からは立山、剱、唐松岳、白馬、鹿島槍、黒部源流の山々、そしてはるか遠くに槍穂高まですべて見渡すことができました。 まだ朝の7時半でのんびり過ごしたい気持ちですが、テントの撤収や下山を考えてそろそろ出発です。下りも気を付けながら慎重に。
遠見尾根の上部はまたしばらくクサリ場や痩せ尾根が続きますが、全体的になだらかな道でした。ただ残念ながら下山する頃には五竜も鹿島槍も雲の中。 遠見尾根からの展望は次回の楽しみにしながらも、やはり5日目にもなるとかなり精神的&肉体的に疲労を感じ、写真をほとんど撮らず歩くことだけに集中し何とかゴンドラの最終に間に合いました。

● 写真(40) ●
  • 下ノ樺のダケカンバの葉が一部黄色く色付いていました。ガスが流れるお天気だからこその綺麗な色。
  • 下ノ樺のダケカンバの葉が一部黄色く色付いていました。ガスが流れるお天気だからこその綺麗な色。
  • 華奢なトリカブトを見つけました。木漏れ日の中で寄り添うようにして咲くお花たち。
  • 華奢なトリカブトを見つけました。木漏れ日の中で寄り添うようにして咲くお花たち。
  • 扇の雪渓で休憩です。心地よい風が吹いていました。
  • 扇の雪渓で休憩です。心地よい風が吹いていました。
  • 悪天へ向かうというのに思いがけず太陽が顔を出したこと、青空を眺めることができたことに感謝です。
  • 悪天へ向かうというのに思いがけず太陽が顔を出したこと、青空を眺めることができたことに感謝です。
  • 残念ながら立山と剱は雲の中でしたが、毛勝三山は辛うじてほぼ姿があらわれていました。
  • 残念ながら立山と剱は雲の中でしたが、毛勝三山は辛うじてほぼ姿があらわれていました。
  • 上空の青空と、雲に映えた太陽の光が綺麗。美しい雲の競演を見ることができました。
  • 上空の青空と、雲に映えた太陽の光が綺麗。美しい雲の競演を見ることができました。
  • 5時前に山頂に到着。思いがけずガスの切れ間から明るい空が覗きもしかしたらと期待しながら日の出を待ちます。
  • 5時前に山頂に到着。思いがけずガスの切れ間から明るい空が覗きもしかしたらと期待しながら日の出を待ちます。
  • 突然、八方尾根に炎のような色が灯りました。まさかの光に大感激。
  • 突然、八方尾根に炎のような色が灯りました。まさかの光に大感激。
  • テン場は一番下でしたが小屋へは10分ほど登ることになるので、皆さん下山された後に引っ越し。
  • テン場は一番下でしたが小屋へは10分ほど登ることになるので、皆さん下山された後に引っ越し。
  • 一昼夜、激しい雨に耐えた後、ようやく好天へ。
  • 一昼夜、激しい雨に耐えた後、ようやく好天へ。
  • 3日目にしてようやく山頂を見ることができた五竜岳。
  • 3日目にしてようやく山頂を見ることができた五竜岳。
  • 太陽が沈みながら、突然雲間から光があふれ出しました。
  • 太陽が沈みながら、突然雲間から光があふれ出しました。
  • 剣岳から毛勝三山へと続く北方稜線の山々の表情が刻々と変化します。
  • 剣岳から毛勝三山へと続く北方稜線の山々の表情が刻々と変化します。
  • 太陽が雲に隠れて行く時、雲のかたちを縁取るように光が浮かび上がりました。
  • 太陽が雲に隠れて行く時、雲のかたちを縁取るように光が浮かび上がりました。
  • この鮮やかな色を眺めていると、冷え込んでいく体とは裏腹に心の中があたたかくなりました。
  • この鮮やかな色を眺めていると、冷え込んでいく体とは裏腹に心の中があたたかくなりました。
  • ご来光は小屋上の展望台から。今朝も雲海が綺麗です。
  • ご来光は小屋上の展望台から。今朝も雲海が綺麗です。
  • 雲海の下には、街明かりが輝いていました。
  • 雲海の下には、街明かりが輝いていました。
  • 太陽が昇り振り返ると、光を受けて立山から剱の稜線が赤く染まり出すところでした。
  • 太陽が昇り振り返ると、光を受けて立山から剱の稜線が赤く染まり出すところでした。
  • 妙高や火打、高妻山など新潟の山々にも朝の光が回ることによって、淡く美しい色でした。
  • 妙高や火打、高妻山など新潟の山々にも朝の光が回ることによって、淡く美しい色でした。
  • 物資運搬のためのヘリを見送った後、五竜へ向かって出発。
  • 物資運搬のためのヘリを見送った後、五竜へ向かって出発。
  • 重いザックでの牛首越えはスリル満点、天気に恵まれたことが助かりました。
  • 重いザックでの牛首越えはスリル満点、天気に恵まれたことが助かりました。
  • 牛首からは美しい五竜岳を望むことができました。
  • 牛首からは美しい五竜岳を望むことができました。
  • 澄んだ青空が綺麗。立山、剱、毛勝三山。
  • 澄んだ青空が綺麗。立山、剱、毛勝三山。
  • 牛首を振り返ります。まだまだ険しい道が続きます。
  • 牛首を振り返ります。まだまだ険しい道が続きます。
  • この箇所だけクサリが設置されていないので、五竜側から唐松側へ縦走する際は要注意ポイントです。
  • この箇所だけクサリが設置されていないので、五竜側から唐松側へ縦走する際は要注意ポイントです。
  • 後半はなだらかな道でしたが、五竜の姿が隠れてしまったまま山荘着。
  • 後半はなだらかな道でしたが、五竜の姿が隠れてしまったまま山荘着。
  • 夕方、白岳に上がると歩いてきた道の全貌があらわれました!
  • 夕方、白岳に上がると歩いてきた道の全貌があらわれました!
  • 再びガスが流れ、青空が顔を出し、そしてまたガスが流れ太陽が隠れます。
  • 再びガスが流れ、青空が顔を出し、そしてまたガスが流れ太陽が隠れます。
  • 刻々と雲が変化しながら、燃え盛るように太陽が沈んで行きました。
  • 刻々と雲が変化しながら、燃え盛るように太陽が沈んで行きました。
  • 日の出前、唐松岳からの縦走路に美しい滝雲がかかりました。
  • 日の出前、唐松岳からの縦走路に美しい滝雲がかかりました。
  • ご来光は残念ながら雲の中でした。
  • ご来光は残念ながら雲の中でした。
  • 五竜岳山頂へ向かいます。人間が小さな存在に感じられます。
  • 五竜岳山頂へ向かいます。人間が小さな存在に感じられます。
  • ストックをサブザックに入れて険しい岩壁を越えたその先に山頂が目前でした。G2からの山頂です。
  • ストックをサブザックに入れて険しい岩壁を越えたその先に山頂が目前でした。G2からの山頂です。
  • 山頂までもうひと息。荷物が軽いので牛首ほど怖さは感じず楽しく登ることができました。
  • 山頂までもうひと息。荷物が軽いので牛首ほど怖さは感じず楽しく登ることができました。
  • 山頂に到着です。小屋から1時間ほどでした。
  • 山頂に到着です。小屋から1時間ほどでした。
  • 白馬岳まで連なる稜線。
  • 白馬岳まで連なる稜線。
  • 立山と剱におだやかな光が回り綺麗でした。
  • 立山と剱におだやかな光が回り綺麗でした。
  • 鹿島槍、はるか遠くに槍ヶ岳。そして黒部源流の山々たち。
  • 鹿島槍、はるか遠くに槍ヶ岳。そして黒部源流の山々たち。
  • 気合いを入れて慎重に下山します。その前に、G2に当たる光が綺麗でした。
  • 気合いを入れて慎重に下山します。その前に、G2に当たる光が綺麗でした。
  • 遠見尾根ではこれが五竜岳を望む最後のチャンスとなってしまいました。
  • 遠見尾根ではこれが五竜岳を望む最後のチャンスとなってしまいました。