槍ヶ岳
2013/05/03~2013/05/06
槍ヶ岳
 
2013/05/03(金):晴れ:上高地~横尾~槍沢ババ平(テン泊)
2013/05/04(土):晴れのち吹雪:槍沢ババ平~槍ヶ岳山荘(小屋泊)
2013/05/05(日):晴れ:槍ヶ岳山荘~槍沢ババ平(テン泊)
2013/05/06(月):晴れのちくもり:槍沢ババ平~横尾~上高地
● 2013/05/03 ●

連休後半の初日なので沢渡駐車場へ朝5時半に着くように向かいましたが、思いがけず車が少なくそれほど急ぐ必要はありませんでした。 今回は25kgを超える荷物と半年ぶりのテン泊で少し不安でしたが、横尾までは普段と変わらず順調に歩けたことでホッと一安心。大部分の人たちは涸沢へ向かうので、横尾からはのんびり静かな旅になります。 これほど透明度の高い水はこれまで見たことがないと感じるほど驚くほど澄み切った梓川の流れ。横尾を過ぎてしばらくで登山道が本格的に雪に覆われるようになって来たので、迷わずアイゼンを装着。 槍見河原を過ぎると雪を冠った美しく険しい横尾尾根があらわれるようになってきました。槍穂高の稜線に続く尾根だと思うと、気分が昂ってきます。 梓川流れる残雪の槍沢の森の中では、この季節ならではのあまりの美しい風景になかなか進みません。小鳥たちが楽しそうにさえずる森の中は春の香りで満ちあふれていました。

槍沢ロッジを過ぎ、ババ平のテン場まであとひと息のところでようやく穂先があらわれたときには感激でした。丸一日歩いても、果てしなく遠く感じる槍ヶ岳。 テン場ではテントの数は30張ほど。ちなみに事前に確認しましたが、トイレは前日の5月2日に設置されたとのことでした。ありがたく使わせていただきます。 テン場に着いたのは既に夕方の4時でかなり疲れましたがなるべく丁寧に整地することにします。ここで3日間、テントを張りっぱなしにするので慎重に場所を探し快適な寝床づくり。 どちらにしても槍沢では夕陽を見ることはできないのでのんびりと・・周りのテントではちょうど夕食の準備中でした。

● 2013/05/04 ●

翌日は行程も短いため朝はゆっくりと起き7時に歩き始めます。30分ほど登り振り返ると、次々登ってくる人たち。そして氷河がつくり出した雄大なU字谷。遠くには蝶ヶ岳の稜線が望めます。 春空のもと、先日降り積もったばかりの新雪が目に眩しく輝き歩くごとに朝の光のラインが少しずつ近づいてきます。 やはり涸沢に比べると人が少なく感じます。槍沢ロッヂと槍ヶ岳山荘のスタッフの方々が赤旗を立ててくださっているので、もしお天気が悪くなっても道を見失うことはなさそうです。 ババ平から歩き始めて3時間、穂先があらわれました!ようやく間近まで辿り着けた感激。ゆっくりしたい気持ちでいっぱいですが、今日は午後から崩れる予報なので早めに登ることにします。 そう思っていると、早速雲が広がり風が強くなってきました。とは言ってもやはりこの辺りまで来るとどんどん勾配がきつくなり、グリーンバンドあたりでは休みながらのんびりと登ります。 そして振り返ると、常念岳が姿をあらわしていました。かなり標高が高くなってきました。久しぶりに森林限界まで来たので、激しく息切れ・・テントを稜線まで運べたら?と思っていましたがやはり無理でした。

殺生ヒュッテを過ぎたところでますます風が強くなり、みるみるうちに空が雲に覆われ、青空が隠れ、たちまち薄暗くなり、とうとう雪が降り出しました。 まだお昼前なのに、天候悪化が早まったようです。天候悪化へ向かうお山の表情を撮りたかったのですが・・。あっという間に辺り一面、光のない薄墨の世界となってしまいました。
最後の急登が気になります。北穂沢やザイテングラードよりも緩やかだとは思いますが、このお天気なので早めに行動します。 すぐ先を歩く人が見えません。槍ヶ岳山荘がもうすぐ近いはずなのに、まったく見えません。トレースと旗竿がなければ方向がまったく分からなくなるでしょう。 歩き始めて5時間半で稜線に着き、逃げ込むように山荘へ。まさに季節は春から冬へ。これから登って来られる方の無事を祈ります。 夕方6時半の槍の肩では激しい吹雪でしたが、日の入り20分前から待機しました。劇的な瞬間を望んで太陽があらわれるのを待ちましたが、穂先すらあらわれず・・夕陽の写真はあきらめました。

● 2013/05/05 ●

朝起きると風もなくとても静かでした。外へ出るとすっかり雲ひとつなく、見ごとな快晴。日の出1時間前に起きだすと迷惑かな?と思いましたが、このお天気なのですでに多くの人たちが出発の準備をしています。 まだ暗いうちから穂先へ登っていく人たちがいたので、明るくなってくるとすでに何人も山頂で過ごしていました。山荘からもご来光を待つ人たちが次々と。 驚いたのはあれほどの吹雪だったのに10張りほどもテントの人たちがいたこと。
太陽は大天井岳から昇ってきました。久しぶりに見たあたたかな光。槍沢の雪面が赤く染まり始め、振り返ると、たっぷりと雪を抱く純白の黒部源流域の山々の頂きが順に赤く染まり始めました。 雪景色だからこそ描かれる朝の模様の美しさ、モノトーンの景色の中にも春のあたたかさを感じました。 朝を迎えると、次々穂先へ登って行く人たち。最初からあきらめていたとはいえ、間近で眺めていると登りたい気持ちになってきます。でも雪がびっしりと付いた岩壁から感じる恐怖・・ どう考えても今の自分の技術では不可能なので、4年ぶりの槍ヶ岳登頂は潔くあきらめることにします。

槍ヶ岳が無理なら、お隣の大喰岳へ。眺めは良くて最高の気分ですが、道はやはり険しく・・まだトレースもそれほどしっかりと付いていない上に稜線の凍て付いた雪に恐怖を感じ、こちらも早々にあきらめて飛騨乗越に戻ります。 そして槍ヶ岳とお別れ。恐ろしいほど雲ひとつない青空が広がっています。 一気に気温が上昇したことによって、かなり雪が腐ってきています。今から登る人たちはかなり辛そう。そしてまだたった一日しか経っていないのに雪の色がまったく異なる槍沢の風景。随分と春らしい色になっていました。 次々と雲があらわれ消えていく変化を楽しみます。あまりの眺めの素晴らしさに、何度も立ち止まって写真を撮ってしまいます。 今晩も槍沢に泊まることにしたからこその贅沢な時間、例年なら今ごろは横尾あたりを時間との闘いに追われている頃のはず。 そしてまだ夕方4時ですが、本日最後の光は横尾尾根に消えていきました。それから想像以上に槍沢の雪解けが進んでいたことと昨夜の吹雪でテントが心配でしたが、何とかペグが1本抜けていただけで済み助かりました。

● 2013/05/06 ●

最終日の朝。今朝も驚くほど青く澄み切った空が広がっていました。一度崩れることはありましたが、連休中にこれほど安定したお天気が続く年は珍しいように感じます。 今日は上高地へ戻るだけなので時間があるので、近くのダケカンバ帯でのんびり時を過ごすことにしました。 空一面に伸び伸びと枝を広げるダケカンバたち。真っ白の枝が青空に映えてとても綺麗です。樹々たちの力強いエネルギーを感じることができて、幸せな気持ち。 いつまでもダケカンバたちと過ごしていたい気持ちですが、今日は午後からお天気が崩れるのでそろそろテントを撤収することにします。

ただ今回こそは時間にゆとりがあったはずなのに朝のお散歩とテントを乾かすためのんびりし過ぎたため、槍見河原ではお昼12時を軽く過ぎてしまいました。急ぎ歩きで横尾に着いたのは1時過ぎ。 前穂を見上げると厚い雲がかかり、稜線はすでに降っているのでしょう。この辺りも少しずつ風が強くなり、そしてとうとう明神で雨に降られ上高地に着いたのは夕方4時半。 下山はいつも通り時間に追われましたが、のんびりとした日程のおかげでからだに掛かる負荷は少なく感じ助かりました。 今回の山旅では、直前の寒波で降り積もったばかりの新雪や美しいダケカンバたちが印象的でしたが、気象状況によっては春山の輝きと冬山の厳しさが入り混じるこの季節。 そのあまりの激しい変化を身を持って体感することができました。

● 写真(43) ●
  • 朝6時半の上高地。澄み切った青空、降り積もったばかりの新雪を冠った穂高が輝いています。
  • 朝6時半の上高地。澄み切った青空、降り積もったばかりの新雪を冠った穂高が輝いています。
  • 驚くほど澄み切った梓川の流れ。沢の奥に目を向けると雪を冠った美しく険しい横尾尾根があらわれるようになってきました。
  • 驚くほど澄み切った梓川の流れ。沢の奥に目を向けると雪を冠った美しく険しい横尾尾根があらわれるようになってきました。
  • いつものポイントでイワナを探しながらのんびり過ごすひととき。これ以上の贅沢な時間はありません。
  • いつものポイントでイワナを探しながらのんびり過ごすひととき。これ以上の贅沢な時間はありません。
  • 爽やかな空、美しい眺めでしたが、目前には倒れてしまったダケカンバたち。雪崩の影響でしょうか?
  • 爽やかな空、美しい眺めでしたが、目前には倒れてしまったダケカンバたち。雪崩の影響でしょうか?
  • 横尾尾根がずいぶんと間近に感じられるようになってきました。雪が崩れ、雪解け水が流れていきます。
  • 横尾尾根がずいぶんと間近に感じられるようになってきました。雪が崩れ、雪解け水が流れていきます。
  • この季節ならではのあまりの美しい風景。小鳥たちが楽しそうにさえずる森の中は春の香りで満ちあふれていました。
  • この季節ならではのあまりの美しい風景。小鳥たちが楽しそうにさえずる森の中は春の香りで満ちあふれていました。
  • 槍沢ロッジを過ぎ、ババ平のテン場まであとひと息のところで、ようやく穂先があらわれたときには感激でした。
  • 槍沢ロッジを過ぎ、ババ平のテン場まであとひと息のところで、ようやく穂先があらわれたときには感激でした。
  • 槍沢ロッジから1時間ほど登り、ようやくテン場に到着。テントは30張りほどでした。
  • 槍沢ロッジから1時間ほど登り、ようやくテン場に到着。テントは30張りほどでした。
  • 翌日は7時に歩き始め30分ほど登り振り返ると、氷河がつくり出した雄大なU字谷を次々登ってくる人たち。
  • 翌日は7時に歩き始め30分ほど登り振り返ると、氷河がつくり出した雄大なU字谷を次々登ってくる人たち。
  • 先日降り積もったばかりの新雪が目に眩しく輝き、歩くごとに朝の光のラインが少しずつ近づいてきます。
  • 先日降り積もったばかりの新雪が目に眩しく輝き、歩くごとに朝の光のラインが少しずつ近づいてきます。
  • 朝のあたたかい光が顔を出しました。雪の中から起き上がろうとしているダケカンバたちに降りそそぐ朝の陽射し。
  • 朝のあたたかい光が顔を出しました。雪の中から起き上がろうとしているダケカンバたちに降りそそぐ朝の陽射し。
  • ババ平から歩き始めて3時間、穂先があらわれました!ようやく間近まで辿り着くことができました。
  • ババ平から歩き始めて3時間、穂先があらわれました!ようやく間近まで辿り着くことができました。
  • この辺りまで来るとどんどん勾配がきつくなり、グリーンバンドあたりでは休みながらのんびりと登ります。
  • この辺りまで来るとどんどん勾配がきつくなり、グリーンバンドあたりでは休みながらのんびりと登ります。
  • そして振り返ると、常念岳と蝶ヶ岳が姿をあらわしていました。かなり標高が高くなってきました。
  • そして振り返ると、常念岳と蝶ヶ岳が姿をあらわしていました。かなり標高が高くなってきました。
  • ところが殺生ヒュッテを過ぎたあたりから予報通り天候急変。風が強くなり、雪が降り出しました。
  • ところが殺生ヒュッテを過ぎたあたりから予報通り天候急変。風が強くなり、雪が降り出しました。
  • ほんの1時間ほどでこれほどお山の表情が変わるなんて。まさに季節は春から冬へ。
  • ほんの1時間ほどでこれほどお山の表情が変わるなんて。まさに季節は春から冬へ。
  • 歩き始めて5時間半で稜線に着き、逃げ込むように山荘へ。これから来られる方の無事を祈ります。
  • 歩き始めて5時間半で稜線に着き、逃げ込むように山荘へ。これから来られる方の無事を祈ります。
  • 朝起きると風もなくとても静かでした。外へ出るとすっかり雲ひとつなく、見ごとな快晴。月が綺麗です。
  • 朝起きると風もなくとても静かでした。外へ出るとすっかり雲ひとつなく、見ごとな快晴。月が綺麗です。
  • この時期なのにすでに何人もの人たちが山頂で過ごしていました。山荘からもご来光を待つ人たちが次々と。
  • この時期なのにすでに何人もの人たちが山頂で過ごしていました。山荘からもご来光を待つ人たちが次々と。
  • 太陽が大天井岳から昇ってきました。久しぶりに見る、あたたかな光。
  • 太陽が大天井岳から昇ってきました。久しぶりに見る、あたたかな光。
  • とても美しいご来光でした。槍沢の雪面が赤く染まり始めました。
  • とても美しいご来光でした。槍沢の雪面が赤く染まり始めました。
  • そして振り返ると、たっぷりと雪を抱く黒部源流域の純白の山々の頂きが順に赤く染まり始めました。
  • そして振り返ると、たっぷりと雪を抱く黒部源流域の純白の山々の頂きが順に赤く染まり始めました。
  • ちょうど笠ヶ岳山頂と影槍が重なる姿を見ることができました。
  • ちょうど笠ヶ岳山頂と影槍が重なる姿を見ることができました。
  • 光と影がつくり出すラインが際立つ時間。西鎌尾根の起伏が浮かび上がる美しさに魅せられました。
  • 光と影がつくり出すラインが際立つ時間。西鎌尾根の起伏が浮かび上がる美しさに魅せられました。
  • 槍沢にも少しずつ光が回り始めました。モノトーンの景色の中にも春のあたたかさを感じました。
  • 槍沢にも少しずつ光が回り始めました。モノトーンの景色の中にも春のあたたかさを感じました。
  • 朝を迎えると次々穂先へ登って行く人たち。どう考えても今の自分の技術では不可能なので、潔くあきらめることにします。
  • 朝を迎えると次々穂先へ登って行く人たち。どう考えても今の自分の技術では不可能なので、潔くあきらめることにします。
  • 槍ヶ岳が無理なら、お隣の大喰岳へ。
  • 槍ヶ岳が無理なら、お隣の大喰岳へ。
  • 飛騨乗越からは笠ヶ岳を綺麗に望むことができました。お隣に遠くに小さく見えるのは、白山。
  • 飛騨乗越からは笠ヶ岳を綺麗に望むことができました。お隣に遠くに小さく見えるのは、白山。
  • ただ稜線の雪質は、それまで歩いてきた槍沢の雪質とはまったく異なるものでした。
  • ただ稜線の雪質は、それまで歩いてきた槍沢の雪質とはまったく異なるものでした。
  • 岩に張り付いた雪。残念ですが恐怖を感じるので大喰岳も潔くあきらめて下山します。
  • 岩に張り付いた雪。残念ですが恐怖を感じるので大喰岳も潔くあきらめて下山します。
  • 槍沢を俯瞰すると、槍ヶ岳に登ってくる人たち、そして下りていく人たちが行き交っている列。
  • 槍沢を俯瞰すると、槍ヶ岳に登ってくる人たち、そして下りていく人たちが行き交っている列。
  • 槍沢を下ります。眩しい光を受け、春独特の輝きを持つ雪。
  • 槍沢を下ります。眩しい光を受け、春独特の輝きを持つ雪。
  • 望遠レンズで切り取ってみると、昨日降り積もった雪が解けていく雪が描く模様がまた、美しく感じます。
  • 望遠レンズで切り取ってみると、昨日降り積もった雪が解けていく雪が描く模様がまた、美しく感じます。
  • 空に浮かんだ丸い雲。次々と雲があらわれ消えゆく変化を楽しみました。
  • 空に浮かんだ丸い雲。次々と雲があらわれ消えゆく変化を楽しみました。
  • 名残惜しい気持ちですが、そろそろ午後3時。ダケカンバ帯まで下りてきました。
  • 名残惜しい気持ちですが、そろそろ午後3時。ダケカンバ帯まで下りてきました。
  • 今晩も槍沢に泊まることにしたからこその贅沢な時間を過ごすことができました。
  • 今晩も槍沢に泊まることにしたからこその贅沢な時間を過ごすことができました。
  • 堂々とした一本のダケカンバに会いに行ってみました。対照的に、すぐ目の前には雪の中から起き上がろうとするダケカンバ。
  • 堂々とした一本のダケカンバに会いに行ってみました。対照的に、すぐ目の前には雪の中から起き上がろうとするダケカンバ。
  • そしてまだ夕方4時ですが、本日最後の光は横尾尾根に消えていきました。
  • そしてまだ夕方4時ですが、本日最後の光は横尾尾根に消えていきました。
  • 最終日の朝。今朝も驚くほど青く澄み切った空が広がっていましたが午後からは下り坂の予報が出ています。
  • 最終日の朝。今朝も驚くほど青く澄み切った空が広がっていましたが午後からは下り坂の予報が出ています。
  • 時間があるので近くのダケカンバ帯でのんびり時を過ごすことにしました。伸び伸びと枝を広げるダケカンバたち。
  • 時間があるので近くのダケカンバ帯でのんびり時を過ごすことにしました。伸び伸びと枝を広げるダケカンバたち。
  • 真っ白の枝が青空に映えてとても綺麗です。樹々たちの力強いエネルギーを感じることができて、幸せな気持ち。
  • 真っ白の枝が青空に映えてとても綺麗です。樹々たちの力強いエネルギーを感じることができて、幸せな気持ち。
  • 雪面に描かれた樹影。
  • 雪面に描かれた樹影。
  • 稜線はすでに降っているのでしょう。横尾に着いたのは連休最終日の午後1時過ぎだったため、既に閑散としていました。
  • 稜線はすでに降っているのでしょう。横尾に着いたのは連休最終日の午後1時過ぎだったため、既に閑散としていました。